先輩!
「ちょっとあっち行こう」と言われ、非常階段前の少し広いスペースに移動した。

「ちょうど会えてよかった。これホワイトデー」

「わーありがと。うれしい」

そのかばんから出てきたのは、かわいらしくラッピングされた焼き菓子の詰め合わせ。これおいしいケーキ屋のだ。やった。


「なあ、久保さんにまた合コンご一緒したいですって言っといて。あの人マジかっこよすぎて大ファンなんだわ」

突然出てきた先輩の名前にドキ、と胸が跳ねる。ん?でも待って。


「一緒に合コン行ったの?」

「おん。1月に」

「へー…」

「でもあの人、人数合わせですけど。飯食ったら帰りますけど。連絡先交換しませんけどって最悪なノリだったのに、まーエグいよ。全員持ってったもん」

「え?持ってったって?お持ち帰りのこと?」

「違う違う。みんなあの人狙いってこと」

「ふーん」

うん。
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