先輩!
「佐々木さん、久保さんにバレンタインあげたの?」

「え…?」

「だから。あげたの?」

話しかけられてびっくりしてしまった上に、質問の意図がわからず何も言えないでいると、それが彼女たちをさらに怒らせてしまったようだ。どうしてそんなこと聞くのか意味が分からない。

それに、親しくもないあなたたちに教える義務はない。


「話聞いてる?」

先輩からもう連絡してこないでと言われた人が、私に一歩詰め寄った。


「言いたくありません」


声が震えたその時。



「芽衣おつかれ」


後ろからポンと肩を叩かれた。振り返らなくてもわかる。慣れ親しんだ声に安堵して、力が抜けそうになった。

先輩!
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