先輩!
それからさらに、ソファーの足元に置いてあるカバンからキーケースを取り出した。

カチャカチャと音を鳴らし、外された1本のカギ。

「この部屋の合鍵。ほら、会社から俺ん家の方が近いし...って、ああもう、本音言うわ。芽衣が使ってくれたら嬉しい。家帰ったとき芽衣がいたら幸せ。だから貰って」

先輩が、少しはにかんで、そして少し不安げに見つめてくる。


「1ヶ月記念に合鍵は重いか。ごめんやっぱナシで」

「やっぱりナシはだめですよ。先月翔くんが私に言った」

「あー、だな」

「持ってていいですか?」

「持ってるだけじゃなくて使って欲しい」

「クリーニングいつでも取りに行けるように、行きつけのお店教えておいてくださいね」

お、と先輩が笑う。
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