先輩!
「ちょっと、野口さん急に入ってきて何言ってんすか」

「本音を代弁してやったんだよ。ほらいつもみたいにしゃきっとかっこよくスカしてろ」

「イテッ」

あははと野口さんが笑う。先輩の背後から忍び寄って、先輩の頭をスパーンと勢いよくはたいた。


「野口さんだって内心ビビってんでしょ。営業部から出たことないくせに」

「そうなんだよー。久保ー、さすがわかってるよなお前。さっきから喉カラカラでよお」

2人のやり取りに声を出して笑う。ホワイトデーのあの1件以来、わたしたちの交際は一気に広まった。

彼女たちに会ってしまっても、何も言われなくなった。
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