先輩!



「あ、ここだ」

「テッラだ!一回行ってみたかったんです」

「今日は大仕事終えた芽衣にご褒美」

「わーありがとう!」

先輩が「予約してるから」と連れてきてくれたお店は、昔から大人気のイタリアンだった。

通された席が個室で、キャンドルが焚かれていてインテリアも雰囲気もお洒落。

まずはシャンパンで乾杯。それから赤ワインをボトルで注文した。

メインがお肉のコース料理を頼んでくれていたので、次々出てくるおいしいお料理を食べながら、たくさん話をする。

仕事の話や違う話。また仕事の話題に戻って、また・・・と。先輩といるといつも話題が尽きない。


「こたが来るし、ますます元気な部になりますね」

「面白くねえ。あいつどう考えても当て馬だろ?」

「当て馬?」

「どうせあいつが芽衣のこと好きになって、でも結局俺と芽衣の仲が深まるみたいな陳腐な流れ」

「こたはわたしより先輩狙いじゃないですか?久保さんかっけえばっかり言ってるから」

「ま、芽衣は絶対渡さないけどな」

キャンドルが先輩の顔をゆらゆらと照らす。いつも以上の色香を纏ってことあるごとにドキドキしっぱなしだ。
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