先輩!
「この子のために俺も頑張らないとって思った。この子は誰を見て育つ?俺じゃんって。そこから俺が変わったの。その子のおかげ」

「先輩…」

「俺って誰かのためなら頑張れるんだって初めて思った。誰かって言うか、芽衣なんだ。俺の原動力は。芽衣のためなら頑張れる。なんでもできる気がする」

先輩の指が私のそれをなぞる。ぞくぞくして、指が、身体が、目頭が熱くなる。


「ずっと俺のそばにいてな」


少し照れたように笑い、でも私の手を強く握った先輩に。


「ずっとそばにいてね」

思いを伝えたとき、ふたば銀行で感じた以上の熱い思いがこみ上げて。


「家で胸貸してやるから」


うんうんと頷くと、涙が零れ落ちそうになった。
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