先輩!
「先輩出てもらっていいですか?」

「わかった」

ベランダから声をかけ、柔軟剤のいい香りがするシーツを広げる。

先輩がホワイトデーにくれた香水の香りに似ていて、今1番お気に入りの柔軟剤。先輩の家も同じものに変えた。

先輩の家みたいに、乾燥までおまかせの洗濯機が欲しいなあと、のんきに考えていた時、青ざめた先輩がベランダにやってきた。


「ヤバい。宅配じゃなかった。インターホン越しにレオくん?って言われた。誰だよレオって。それより、モニターに俺らよりも若い女の子が写ってる。それと多分もう1人」


すごく嫌な予感がする。

ベランダと部屋の段差にこけそうになりながらモニターを確認した。やっぱり...


「妹とお母さんです」

「は、マジか」


先輩が絶句した。
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