先輩!
「会社の先輩なの。お茶入れるね。持ってきてくれたシュークリーム食べるよね?」

立ち上がりキッチンに向かうわたしを、先輩がギロリと目線で責める。

俺を1人にするなっていう思いが痛いほど伝わってくる。先輩ごめんね。心の中で思いながら、コーヒーと紅茶を入れつつ、キッチンから声をかける。


「2人とも来るなら連絡してよ」

「だってびっくりさせたかったんだもん。逆にさせられたけど」

「ごめんね芽衣。サプライズしたいからお母さんも絶対連絡しないでって言われて。久保さんもごめんなさいね。せっかくのお休みなのに」

妹と違い常識人の母が言うと、先輩が「いえ」と笑顔を作る。


今日はこの後、友だち親子とこの近くで遊ぶ約束をしていて、それでわたしに会いに来てくれたらしい。


「お姉ちゃんゴールデンウィークも帰ってこないんだもん。寂しくて会いに来ちゃった」

「ごめんね。お盆は帰るね」


ごめんね。今年のゴールデンウィークは2泊3日で先輩とネズミの国に行ってたの。すごく楽しくてまさに夢の国だったの。


「絶対だよ。お父さんも寂しがってた」

「うん絶対帰る」

「また一緒に寝ようね」

「うんうん。寝ようね」
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