先輩!
「先生これから駅前の中華でラーメン食って帰ろうかな」

「は?俺もラーメン食いてー」

「守屋もたまたまそこにラーメン食いに行けば?偶然そこで一緒になって、偶然ラーメン一緒に食おうぜ」

「ガチ?ぜってー行く。偶然な」


生徒と個人的な接触は厳禁だ。だから偶然を装って奢ってやる。


「それ食ったら家帰れよ」

「はー?まあ、今夜は」


渋々、と全身が物語る。


「口止め料な」

「何を口止め?玲央が泣いてたこと?忘れられない元カノが結婚したこと?」

「どっちも。でも泣いてないぞ。それよりここのカギ出せ」

「えー」


逃げようとする守屋をつかまえ、すんなりカギを没収した。


忘れられない元カノ。

自分では理解しているが、人に言われると傷つくな。



芽衣、俺はイイ感じの人なんていないよ。


出来そうもないけど、安心させたくて吐いた嘘。


芽衣は俺の嘘、見抜いただろうな。


なぜか昔から、芽衣の気付きは鋭かったから。
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