先輩!
その週末の業務終了後、営業部の皆でホテルのビアホールにいた。

野口さんが一声掛けたら全員がすぐ集まった。あの人、人望あるんだよな。


佐々木の指導を任されてからの2ヶ月で、俺の意識は大きく変わった。


仕事に真摯に向き合って、面倒だと避けていたこともできる限りやってみた。

やればやるだけ結果がついてきて、面白いほど契約が取れて。

佐々木が「凄いです」って尊敬してくれて。

調子に乗って、偉そうに指導した。


佐々木のためだと思ったら努力しようと思えた。


佐々木のためなら頑張れた。



「先輩グラス空きそうですね。何飲まれます?注いできます」

「サンキュ。なんでもいいや。美味しい泡頼むな」

「お任せください」


隣に座っている佐々木が(隣に座らせた)俺のグラスを持って立ち上がったところに、「佐々木さん相談乗ってよ」と同僚が絡んできた。

俺の1年後輩で、佐々木のメンターの河合さんと同期の横山だ。


料理を山盛りにした皿を両手に持ち「食べよう」と言いながら、俺と佐々木の席の間にしゃがみ込んだ。


なんだよ。となり来んなよ。

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