先輩!
「もうすぐ飲み会終わるだろ?終わったら2人で飲み直すか?一晩中話聞いてやるよ」

「ほんとですか?」

佐々木の顔に笑顔が現れ安堵した。


「胸でも肩でも貸してやるから思いっきり泣いていいぞ」

「ありがとうございます。あの、じゃあカラオケ行きたいです」

「マジか。行こうぜ。その代わり始発まで帰らせないよ?」

「帰りません」



その夜、2人きりで行ったカラオケで、佐々木は一度も涙することはなかった。


流行りの歌から演歌まで、喉が枯れるまでオールで歌い続けた。


初めこそ、明るい曲を選曲していたが、佐々木がこてこてのラブソングを歌ってほしいとリクエストしてきたので、遠慮せずになんでも歌った。
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