先輩!

「芽衣。俺にも腕回してよ」

ソファーからほんの少し体を浮かせる。作った隙間に芽衣の腕が伸びてきたので、その腕に身体を預けた。


芽衣の心臓の鼓動は、俺のと同じくらい激しくて。


「芽衣の心臓ヤバ。俺もだけど」

肩を抱いていた腕の角度を変え、髪の毛を撫でた。


「なあ、俺たち今お試し中なの?」

「違います。お試さないです」

「日本語」

「すみません。お試しじゃないです。真剣交際です」

「そっか。真剣か。やった」


俺が笑うと芽衣も笑顔になって。笑うと体に振動が伝わってきて。


「芽衣」

じっと目を見つめると、見つめ返してくれて。


「大好きだよ」

「わたしもです」

「芽衣に好きって言われるとめちゃくちゃ嬉しい」

「わたしも先輩に言われたら嬉しいです」


気持ちを伝えると、伝えてくれる。


「キスしていい?」

芽衣が恥ずかしそうに目を逸らしたけど、でも頷いてくれて。


そっと、そっと唇を重ねた。


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