先輩！

6.どうしたらいい？

新年度を迎え、営業部にも変化があった。部長をトップに、その下が俺と野口新課長。

7月に恒例の新入社員の配属はないと既に上から知らされており、芽衣の同期の佐々木虎太郎が加わった。

俺が出世したばっかりに、役付きが代々座る席に移動させられ、俺の後に虎太郎が座っている。


クソ。その席芽衣の向かいで最高だったのに。

虎太郎の指導を当面は俺と芽衣で行うことになり、数日共に過ごしてみて、いろいろ思うことがある。


まず1つ。虎太郎と芽衣の距離が近い。


同期だからかなんなのか知らないが、2人の仲が良くて面白くない。

互いを名前で呼び合い（しかも芽衣は“こた”と芽衣だけの呼び方で呼ぶ)俺が別案件に取り組んでいるときは、2人で外回りに出かける。

同じ苗字だから夫婦かと聞かれました。と無邪気に報告された日には、本気で虎太郎をシメようかと思った。


嫉妬してるなんて間違っても悟られたくないから絶対顔と態度に出さないけど。(実際は野口さんにバレている)

そして虎太郎はなぜか俺に懐いていて、ことあるごとに俺と行動を共にしたがる。


今のところ、芽衣をめぐって陳腐な展開になる気配はない。
< 311 / 371 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop