先輩!
芽衣に出会って初めて、自分は欠陥品ではないと知った。ちゃんと人間らしい”感情“を持っていたんだと。
そして何よりかけがえのない芽衣を。
「お前に圧倒的に欠如していた部分を、恋人が引き出して伸ばしてくれたんだな」
「部長も知ってたんですね。俺と佐々木のこと」
「そりゃそうだろう。久保のほうがベタ惚れだったじゃないか。佐々木さんに相手にもされてなかったのに良かったな。一発逆転できて」
「え、」
「我が社のビッグカップルはお偉いさんもご存知だったぞ。美男美女に我が社の広告塔をさせたいって言ってたから、そのうち声がかかるかもしれんなあ」
「うわ、それキツいです。絶対やりません」
「サラリーマンに拒否権はないぞ」
声をあげて笑う部長だが、部長ともなるとよく人のことを見てるものだと改めて知った。もしくはこの人がずば抜けているのか。
それにしても恥ずかしいな。俺が佐々木のこと好きだったの、いつから気づかれてたんだろう。
いや恥ずいわこれ。