先輩!
HCUで計2時間ほど過ごした後、一般病棟に移った。

全室個室の完全看護の病院らしく、身内の付き添いは不要だ。

虎太郎に、駆けつけてくれた全員が宿泊するホテルの手配をさせて、病棟を移ったタイミングでホテルに移動してもらった。


両親は明日の朝また病院に寄って地元に帰ると言っていた。俺がマンションに戻ったらまた様子を見に行くと言われた。

部長と野口さんと虎太郎は、明日少し観光して帰るらしい。


芽衣はどうするんだろう。


芽衣(と虎太郎)はここに残りたがったが、うまい事言ってホテルに行かせた。じゃないとあいつ(あいつら)不眠不休で付き添いそうだし。

芽衣には、全員の宿泊代金をこれで支払って欲しいとクレジットカードを渡した。明日目が覚めたら会いに来てなと言葉を添えて。


虎太郎には、大切な大切な可愛い婚約者の芽衣を最後まで送り届けて欲しいと頼んだ。


しんと静まり返った病室で一人になった。痛み止めが効いてきて身体はだいぶ楽になった。

うとうとしかけては目を覚ましを何度か繰り返し、少しだけ眠れた。


明け方に浅い眠りから目を覚ました時、ホテルに泊まっているはずの芽衣がいた。

ベッドの傍に置いたパイプ椅子ではなく、冷たい床に毛布のようなものを2つ折りにしてそこに座り、俺の右手を握って眠っている。

ベッドに頭を乗せて。


いつからいたんだ?
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