先輩!




一旦家に帰った。


芽衣が着替えている間に、大事なものを忘れないように、テーブルの上に置いた。


「お待たせ」

いつものカジュアルな服装とは違い、ピンクベージュ色のワンピースを身につけた芽衣が洗面所から出てきた。

短めの髪の毛を緩く巻いていてメイクもバッチリだ。

俺の嫁可愛すぎん?


「ん、可愛い」

「翔くん!」


「ぎゅー」と言いながら、俺に飛びついてきた。

両腕で抱きとめることができて、それだけで喜びを感じる。


「ギブス取れて良かったね」

「いろいろ迷惑かけてごめんな。ありがとう」

「いっぱいぎゅってして?」


やば。やっぱり俺の嫁可愛すぎん?甘えモードかよ。このままイチャイチャしてえ。

時間押してるけど、抱きしめてキスするの一択だわ。



芽衣と出会って、喜怒哀楽のハードルが下がった。


何をするのもめんどくさくて、一生懸命な人を心のどこかで蔑んでいた俺とは別人のようだ。


少し前に野口さんに、自分という人間が変わったと話したことがある。


でもその時、本来のお前が引き出されただけじゃないのか。と笑われた。


真相は分からない。

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