先輩!
結婚して半年が経過した。

式や旅行の準備が忙しくて2人とも忘れていたが、半月以上遅れているようだ。


すぐにドラッグストアに検査薬を買いに走った。


期待と不安を胸に、トイレに入った芽衣を待つ間、壁に吊り下げられているドライフラワーを眺めた。


2度目のプロポーズの時の花束の一部を、芽衣が河合さんと一緒にドライフラワーにしたのだ。



カチャリ、ドアが開き出てきた芽衣は笑顔で、手に持つそれには、はっきりと結果が現れていた。



「赤ちゃん、授かった」

「そっか、やったな」

「翔くん...どうしようすごく嬉しい。身体が震える」

「うん。俺もヤバい、嬉しすぎる。明日病院行こう」



「おいで」と両手を広げ、腕の中に芽衣を抱いた。その腕はもちろん、全身の鳥肌がヤバい。


青白い顔をした芽衣の下腹部に手を添えると、芽衣がその上に手を重ねて微笑んだ。



俺たちの薬指に光るペアリングが、小さな小さな、命の輝きに見えた。





【side翔 完結】
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