先輩!
少し目を伏せて、また見つめられる。

この人ヤバいマジで。


「行こっかな」

やった!心の中でガッツポーズだ。


「うちここから徒歩っす。ビールとワインありますけど他いります?あ、ハイボールも作れる」

「赤?白?」

「両方」

「両方行こう」


穂乃果さん美人だし、年上だし。カッコつけて言ったけど、内心バクバク。

うちで飲み直す?って、そんなかっこいいこと今まで言ったことねえし。


穂乃果さんの気が変わって帰ってしまわないように手を繋いで歩きたいけど、逆に警戒されそうで手を引っ込めた。

ん?家に来るってことは、そういうことになってもいいってことか?

それとも、芽衣と久保課長の親しい人にまさか手を出すわけないって、安心しきってるのか。


めちゃくちゃ下心あるんすけど。

下心というより、がっつり付き合いてえ。


月曜の朝話しかけた時は、まさかこんなことになるとは思ってなかった。

たまたま姿が見えたから話しかけただけだった。

金曜日に穂乃果さんの目の前で大声出したこと、もし気にしてるようなら謝りたくて。

全く気にしてなくてほっとしたし、少し話しただけだったのに楽しかった。


今まで穂乃果さんの存在は知っていた。

俺が尊敬してやまない久保課長の恋人で、同期でもある芽衣が、会社の中で一番仲良い美人の先輩。


繰り返すけど、ダメもとで誘って良かった。
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