先輩!



「はー完璧な芽衣ちゃんロス。次いつ会えるんだろう」

「俺もっすよ。久保課長に会いたい」

「虎太郎、受けね」

「ウケネ?」

「受け。よ、BL勉強して」

ソファーを背もたれ代わりにラグの上に座り、ローテーブルには赤ワインのボトルとグラス2個。

チーズが少し残っている。

日付は変わり、それでもなお話が尽きない。


もう電車ないけど、穂乃果さんは気づいてるのだろうか。


早速『BL 受け』をググッてみる。

その画面を穂乃果さんまで覗き込んでくるから距離!距離近いって。


「俺課長にやられる側?」

「そりゃそうでしょ。あ、待って。逆もありかもね」

顎に指を当てて真剣な顔の穂乃果さん。頭の中覗いてみてえわ。


「ねえ休みの日何してるの?パソコンの分解?」

「そうっすね。でも表向きのオシャレな趣味はツーリング」

「ツッコミ忙しい。オシャレな趣味?ツーリング?」

「うん。パソコン分解なんか言っても引かれるでしょ。大型バイクとシャリーの2台を自分でカスタマイズして走らせてるんすけど、こっち言った方がオシャレでしょ」

「モテを狙う時に言うのね」

「そうそう。でも実際好きだし。ツーリング仲間数人で走るんすよ」

「へー楽しそう。わたしもモテたい時は雑貨屋めぐりって言おっかな。実際は一日中スマホとパソコンに張り付いてるけど。推しが多いから休日は推し活が忙しい」

そうか。忙しいのか。休日誘いにくくなったな。


「てかさ、モテる必要なくね?」

もう、さ、俺と付き合おうよ。
< 363 / 371 >

この作品をシェア

pagetop