先輩!
俺ん家に場所を変えてもとにかく話題が尽きなくて。

エロい雰囲気になりそうにないし、無理やりもっていくのもやめよう。

芽衣の大好きな先輩だからな。


今日はこのまま雑魚寝して、次の約束が出来たらそれでいいや。


「あ、じゃあ営業部に異動になって残念だった?前の方が機械イジれて良かったんじゃない?」

「穂乃果さん、俺のこと前から知っててくれたんすね」

「うん。だって虎太郎の顔面最強。超タイプ。虎太郎優勝」

「この顔好きなの?」

「塩顔好きにはたまらない顔よ」

「違うって。穂乃果さんが好きか聞いてんの」

「...好き、だけど?」

言わせた感否めないけど、なんなんこの嬉しさ。


穂乃果さんは、居酒屋を後にした時よりもさらに酔いが顔に表れている。

頬は朱に染まり、目もとろんとしてとにかく色っぽい。


「俺も穂乃果さんの顔好きっすよ。それに話してて楽しいし」

「わたしも楽しい。ヲタ話に引かないでくれてありがとう」

「勉強になった。知らん単語を結構覚えた。顔だけじゃなくて、好きっすよ、穂乃果さんのこと」

じっと見つめすぎたか。穂乃果さんがぱっと目を逸らす。

ついさっきまで、そんな雰囲気にはなりそうになかったのに、一気に風向きが変わった。
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