先輩!
「ピザマジで美味いっすね」

「うん美味しい」

「穂乃果さんもワイン飲めばいいのに、合うよピザに」

「えーどうしよっかな」

俺が飲んでる赤ワインの入ったグラスを差し出すが、受け取ろうとしない。

なんで今日そんな酒我慢すんの?

この前めちゃくちゃ飲んで、楽しくなって気持ちよくなったのに。


今夜もそれでいいじゃないすか。


「水曜日の仕事終わりに久保さんの家にお見舞い行ったんだ。久保さんの顔が痛々しかったな。でもあの2人さ、普通にしてるんだろうけど、私からしたらただのイチャイチャで尊かった」

「は?」

「久保さんの芽衣ちゃん愛が過ぎる。それで、」

「ちょっと待って!穂乃果さん久保課長の家行ったん?」

「え?うん」

「は?俺も行きたかった。あっちの病院に駆けつけた日から会ってない。俺久保課長に毎日電話してんのに、あの人塩でさ」

「そうなの?なんかごめん。虎太郎誘えばよかったかな」

「久保課長に穂乃果さんと付き合ってるって報告したい」

「え?私たち付き合ってるの?」

「え、違うのかよ」

穂乃果さんは一瞬目を大きく見開き、それからすぐ目を伏せ右耳に髪をかけた。


「この前穂乃果さんに好きって言ったら、穂乃果さん好きっても言ってくれた」

「...うん」

「俺たち付き合ってないの?」

「...付き合いたい」


アルコールを控えているはずの穂乃果さんの頬が、みるみる朱に染る。


「穂乃果、好きだよ」

「わたしも...わたしも好きよ。虎太郎」
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