先輩!
「では、実際に採寸させていただいてよろしいですか?」

「はいお願いします」


テラー係の女性が一番に席を立ち、ドアを開けてくださった。この人もきれい。

と、先輩がその女性の前を通り部屋を出るとき、ほんの一瞬違和感を感じた。お互いわざと目を合わせなかったような、避けたような。気のせいかな。


営業時の必須アイテムであるマイメジャーをジャケットのポケットから取り出し、先輩とふたりで広いロビーの採寸作業に移る。


採寸後、今度は写真を取らせてもらう。帰社後に穂乃果さんも在籍するインテリア部に送って、何通りかのイメージCGを作成してもらう。

機器やインテリアのひとつひとつの商品説明と単価も加え、見積書を作成するのは私たち営業部の仕事だ。何度も作り直し、最終的な見積書を上司に検印してもらった後、その見積書はさらに他部署に回り、何人ものチェックが入る。


今回のふたぎんさんの場合、とても大きい案件な上に短期間なので、しばらく残業覚悟だ。
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