先輩!
「テラーの方もお綺麗でしたね。先輩、お知合いですか?なんか一瞬あれ?って思ったんですよね」

「佐々木の無駄に鋭いところ怖いわ」


なんで気づくかなあ、と呟いた先輩。「佐々木だから正直に答えるけど」と前置きした。


「一時期ちょっとな。昔の話。若いころだからな。ちょっと調子乗ってた時期があって」

「え!そうなんですか?でも先輩今も若いじゃないですか」

「学生時代とか社会人になりたてとか、その頃だよ。佐々木もあるだろ。合コンで知り合っていい感じになって・・・なあ」


こんなはっきりしない先輩は初めてだ。語尾を濁すように話すなんて。

でもね先輩。


「わたし合コン行ったことないんです」

「は?嘘だろ。あーあれか。彼氏が途切れなかったのか?」

「今まで付き合った人、1人だけです」


先輩の、駐車場へ向かう足が止まったかと思うと、アーモンド形の大きな目がさらに大きく見開いている。


そんなに驚きますか?
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