先輩!
「去年の夏に別れた彼氏だけ?」

「はい」

「長く付き合ってた彼氏って言ってたよな…なんとなく聞くのが怖いけど…何年?」

「8年ちょっとです」

「8年!?」


先輩の声が暗がりで響く。それきり黙ったまま、目の前の駐車場に向けゆっくり歩きだした。


「あれ早瀬さんですよね」


わたしたちが乗ってきた、電気自動車の社用車の隣に、高級車の黒いセダンが止まっている。

早瀬さんがその車に近づくと、後ろのドアが開いて、スーツを着た長身の男性が出てきた。
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