先輩!
「俺は気づかなかったんだけど、久保が急に立ち止まってさ。まあすぐ通り過ぎたけど。今の佐々木でしたって言うんだ。服着替えてたよね」
「はい…」
「そこから久保が急降下。今の男誰なんですかねって。返事を待ってくれってなんでなんですかね。振ったら仕事やりにくくなるから気を使ってるんですかねって」
「違うんです、そんなのじゃないんです」
「今朝も、チョコがみんなと同じだった。俺もう振られる気しかしないって落ち込んでた。あ、チョコありがとね」
「いえ、」
「まあそんな悲しい顔しないで。ごめんねプライベートなことに首突っ込んで。久保さ、今外出ててもうすぐ戻ってくるから、スパッと振ってやってよ」
よし!おつかれ!と両ももをパンと鳴らして野口さんが立ち上がり部屋を後にした。
わたしは部屋に1人残り、先輩の帰りを待った。