先輩!
6.沼の予感
国宝級、千年に一度と形容される芸能人と並んでも一歩も引けを取らないであろう先輩の顔が、目を覚ますと目と鼻の先にあった。

気持ちよさそうに寝息を立てる先輩に、小さくおはようございますと独言。

昨日はジェットコースターみたいな怒涛の展開についていくのが必死で。


わたし、昨日先輩と…

昨夜を思い出して血の気が引く。

恥ずかしい。いっぱい好きって言ったし、いっぱいキスした。あんなこともこんなこともされて、身体の隅々まで見られた!

わたしはすごく気持ちよかったけど、先輩は満足してくれたかな。過去の女の人たちと比べて、物足りないって思われなかったかな。

わたし、玲央しか知らないから。


「先輩かっこいいなあ」

「だろ?」

「え!起きてたんですか?」

「うん。芽衣のかわいい寝顔ずっと眺めてた。寝起きすっぴんもかわいいのな」

「先輩!」

掛け布団にくるまって、先輩に背中を向ける。

「布団取んなよ寒い。ケツ出るだろ」とくっついてきた先輩に抱きしめられてすっぽり収まった。
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