先輩!
「おはよ」

「おはようございます」

「芽衣が俺のスエット着て隣で寝てるとかマジ幸せ」

「じゃあ下も貸してください。スースーします」

「いやだ」

ペチンとお尻を鳴らされて、そのまま手がするするとお尻を撫でる。もう。


昨夜、先輩が着替えに貸してくれたのがスエットの上だけだったのだ。もちろんオーバーサイズだから太ももまですっぽり隠れるけど、「男の夢」と言って願いを聞き入れてくれなかった。

すんすんと、先輩が鼻先を私の後頭部に擦り付ける。なんですかそのかわいい仕草。

先輩の腕の中でころんと寝返りをうち、先輩と目を合させる。にこっと微笑んだ先輩が、ちゅ、とキスをくれた。


「先輩は昨日ちゃんと満足できましたか?物足りないとか、わたしのその…身体とか、他にもおかしなところなかったですか?」

「物足りないどころか。めちゃくちゃ満たされました」

「ほんとですか?なんで敬語なんですか?可愛いからやめてください」

「芽衣もそのうち自然に敬語なくなって、名前で呼んでな。今すぐでもいいけどな」

「・・・そのうち」

「昨日の翔くん呼びはエグかった。あれはエグい」

「翔くん」


先輩が嬉しそうに笑ってくれるから、調子に乗って呼んでみた。先輩の言う通り、自然に名前で呼べるようになりたい。
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