花咲くように 微笑んで
 菜乃花が席を外している間に、颯真はスタッフを呼んでクレジットカードを渡す。

 「先にお会計を」
 「かしこまりした」

 既にドルチェまでオーダーしており、おそらく追加で注文はしないだろう。

 レシートとクレジットカードを財布にしまったところで、菜乃花が戻って来た。

 「お待たせしました」

 うつむいて気恥ずかしそうにしながら席に着く。

 確かに先程より目元がくっきりと美しく整っているが、すっぴんでも充分綺麗だったなと改めて思う。

 逆に、すべすべした肌の潤いが隠れてしまってもったいない。

 そんなことを考えていると、料理が運ばれてきた。

 菜乃花が手際良くサラダを取り皿に分けて、颯真に差し出す。

 「どうぞ」
 「ありがとう」

 食べながら、ふと思い出して颯真が尋ねた。
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