花咲くように 微笑んで
 グラスに注いだスパークリングワインで、二人は二度目の乾杯をする。

 「メリークリスマス!」

 ゆっくりと口をつけた颯真は、ふうと息をつく。

 「美味しいな。ジンジャエールとは違う」
 「ふふっ、それはそうですよ。宮瀬さん、お酒はどれくらいぶり?」
 「最後に飲んだのは学生の時だったから…、何年だ?」

 ええ?!と菜乃花は驚いて仰け反る。

 「そんなに?!じゃあ、すぐに酔っ払っちゃうかも?」
 「どうだろう?」
 「まあ、いいですよ。宮瀬さんが酔っ払ったら、私が介抱しますから」
 「それは無理だと思うよ」
 「え?どうして?」

 颯真は、くくっと笑いを堪える。

 「なあに?」
 「いや、思い出しちゃってさ」
 「何を?」

 するとますます颯真は笑い出す。

 「君こそもっと飲みなよ。俺が介抱するからさ」
 「結構です!」

 ひとしきり笑ったあと、颯真はふと真顔になる。

 「誰かと話すってこんなに楽しいんだな。いや、相手が君だから、なのか」
 「ん?またダジャレ?」
 「違うって!」

 あはは!と笑ってから、颯真は顔を上げて菜乃花を正面から見つめた。
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