花咲くように 微笑んで
 通されたのは最上階にあるフレンチレストラン。

 真下に見下ろせる街の輝きと、どこまでも続く綺麗な海を眺めてうっとりしていると、颯真がスマートにオーダーを済ませてくれた。

 「じゃあまずは乾杯しよう。メリークリスマス」
 「メリークリスマス」

 二人はワインで乾杯する。

 (宮瀬さん、やっとお酒を楽しんでくれるようになったんだ)

 菜乃花は嬉しくなり、ついつい飲み過ぎてしまう。

 「菜乃花、そんなに飲んで大丈夫?」
 「はい。私、こう見えて結構お酒は強いんです」
 「それは大きな勘違いだと思うよ?」

 颯真の言葉は耳に入らないかのように、菜乃花は美味しいワインに酔いしれていた。
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