花咲くように 微笑んで
「そう言えば君の下の名前、『なおこ』でも『なおみ』でもないんだって?」
え?と菜乃花は突然の話題に首を傾げる。
「ポーチにNのイニシャルが入ってたから、春樹に聞いたんだ。『なおこさん』か『なおみさん』は列席者の中にいるか?って。そしたら春樹、笑ってた。『な』で始まるけど違うって。だからずっと考えてたんだ。他にどんな名前があるかなって。な、な、な…。あ!奈々さんとか?」
菜乃花はクスッと笑って首を振る。
「違います」
「えっ!まだ他にあるの?なんだろう…」
颯真はフォークを置いて真剣に考え込む。
「な、な、な…。あー、ごめん。降参」
ふふっと笑ってから菜乃花は口を開いた。
「私、鈴原 菜乃花と申します」
「なのか?!はあー、それは全く思い浮かばなかった。そうか、なるほど。『なのか』なのか」
「あはは!ダジャレお上手ですね」
「いや、ごめん。そんなつもりは…」
「あの、失礼ですけど、私もあなたのお名前をうかがっても?」
「あ!そうだったな、すまん。俺は宮瀬 颯真だ」
「みやせ そうまさん…。み、み、み…。ごめんなさい、私も降参です。ダジャレが思いつかなくて」
「ははは!そんな、ダジャレのお返しなんていいよ」
楽しそうに笑って、颯真は並べられた料理に次々と手を伸ばす。
「本当に美味しいね。ここの料理」
「ええ。土日はいつも混んでるんですけど、今日は月曜日なので空いてますね」
「そうか、ラッキーだったな。君のお仕事も土日休みじゃないの?」
「はい。固定休ではなくてシフト制です。宮瀬さんも?」
「ああ。でも土日も仕事だと、デートの約束とか難しいでしょ?休みがなかなか合わなくて」
「いえ。彼氏もいないので、逆にこんなふうに平日の空いてるランチを楽しめて私は気に入ってます。宮瀬さんは、やっぱり土日休みの方がいいですか?」
「いや、俺もシフト制の方が合ってる」
「彼女さんもシフト制なんですか?」
「いないよ、彼女。だから休日は一人で気ままに過ごしてる」
へえ、と菜乃花は改めて颯真を見つめる。
昨日は春樹にばかり気を取られていたが、こうして向き合ってみると、なかなかのイケメンだった。
(背も高いし、きっとかなりモテるんじゃないかな?)
それでも彼女がいないということは…。
「やっぱりシフト制だと彼女を作りにくいですか?」
「ん?いや、そういう訳ではないよ。単純に今俺が誰かとつき合う余裕がないだけ」
「それは、お仕事が忙しくて?」
「うん。まあ、そうかな。色々勉強中の身だしね。きっと彼女が出来てもこれっぽっちも構ってやれなくて、すぐに捨てられるよ」
そう言って明るく笑う颯真に、そんな、と首を振りつつ菜乃花は考える。
(勉強中って、どんなお仕事なんだろう。確か春樹先輩と同い年だから、今28歳のはずよね?)
気になるが、知り会ったばかりの相手に踏み込んだ質問も出来ない。
(そう言えば、披露宴の最中もお仕事の呼び出しがあったみたいだし。お忙しそうだな)
ふと気になって聞いてみる。
「あの、今日はお仕事お休みなんですか?お時間大丈夫でしょうか?」
「ああ。今日は夜勤なんだ。だからまだ平気」
「えっ!夜勤ですか?!大変。それなのに私の為にお時間取らせてしまって…。おうちで身体を休ませたかったですよね?本当にすみません」
「いや、いい気分転換になったよ。それに夜勤と言っても、正しくは宿直だから仮眠出来るんだ。だから大丈夫」
「本当に申し訳ありません」
菜乃花は、ここの支払いだけでなく、後日きちんとお礼をさせてもらおうと心の中で考えていた。
え?と菜乃花は突然の話題に首を傾げる。
「ポーチにNのイニシャルが入ってたから、春樹に聞いたんだ。『なおこさん』か『なおみさん』は列席者の中にいるか?って。そしたら春樹、笑ってた。『な』で始まるけど違うって。だからずっと考えてたんだ。他にどんな名前があるかなって。な、な、な…。あ!奈々さんとか?」
菜乃花はクスッと笑って首を振る。
「違います」
「えっ!まだ他にあるの?なんだろう…」
颯真はフォークを置いて真剣に考え込む。
「な、な、な…。あー、ごめん。降参」
ふふっと笑ってから菜乃花は口を開いた。
「私、鈴原 菜乃花と申します」
「なのか?!はあー、それは全く思い浮かばなかった。そうか、なるほど。『なのか』なのか」
「あはは!ダジャレお上手ですね」
「いや、ごめん。そんなつもりは…」
「あの、失礼ですけど、私もあなたのお名前をうかがっても?」
「あ!そうだったな、すまん。俺は宮瀬 颯真だ」
「みやせ そうまさん…。み、み、み…。ごめんなさい、私も降参です。ダジャレが思いつかなくて」
「ははは!そんな、ダジャレのお返しなんていいよ」
楽しそうに笑って、颯真は並べられた料理に次々と手を伸ばす。
「本当に美味しいね。ここの料理」
「ええ。土日はいつも混んでるんですけど、今日は月曜日なので空いてますね」
「そうか、ラッキーだったな。君のお仕事も土日休みじゃないの?」
「はい。固定休ではなくてシフト制です。宮瀬さんも?」
「ああ。でも土日も仕事だと、デートの約束とか難しいでしょ?休みがなかなか合わなくて」
「いえ。彼氏もいないので、逆にこんなふうに平日の空いてるランチを楽しめて私は気に入ってます。宮瀬さんは、やっぱり土日休みの方がいいですか?」
「いや、俺もシフト制の方が合ってる」
「彼女さんもシフト制なんですか?」
「いないよ、彼女。だから休日は一人で気ままに過ごしてる」
へえ、と菜乃花は改めて颯真を見つめる。
昨日は春樹にばかり気を取られていたが、こうして向き合ってみると、なかなかのイケメンだった。
(背も高いし、きっとかなりモテるんじゃないかな?)
それでも彼女がいないということは…。
「やっぱりシフト制だと彼女を作りにくいですか?」
「ん?いや、そういう訳ではないよ。単純に今俺が誰かとつき合う余裕がないだけ」
「それは、お仕事が忙しくて?」
「うん。まあ、そうかな。色々勉強中の身だしね。きっと彼女が出来てもこれっぽっちも構ってやれなくて、すぐに捨てられるよ」
そう言って明るく笑う颯真に、そんな、と首を振りつつ菜乃花は考える。
(勉強中って、どんなお仕事なんだろう。確か春樹先輩と同い年だから、今28歳のはずよね?)
気になるが、知り会ったばかりの相手に踏み込んだ質問も出来ない。
(そう言えば、披露宴の最中もお仕事の呼び出しがあったみたいだし。お忙しそうだな)
ふと気になって聞いてみる。
「あの、今日はお仕事お休みなんですか?お時間大丈夫でしょうか?」
「ああ。今日は夜勤なんだ。だからまだ平気」
「えっ!夜勤ですか?!大変。それなのに私の為にお時間取らせてしまって…。おうちで身体を休ませたかったですよね?本当にすみません」
「いや、いい気分転換になったよ。それに夜勤と言っても、正しくは宿直だから仮眠出来るんだ。だから大丈夫」
「本当に申し訳ありません」
菜乃花は、ここの支払いだけでなく、後日きちんとお礼をさせてもらおうと心の中で考えていた。