花咲くように 微笑んで
「じゃあ改めてお互い自己紹介したら?菜乃花ちゃんと颯真先生」
有希に交互に見つめられ、菜乃花と颯真は気まずそうにうつむく。
「あらやだ!お見合いみたいになっちゃった。春樹、仲人やる?」
「そうだな。それでは、えーゴホン!本日はお日柄も良く…」
「クリスマスイブに何言ってるのよ。それはいいから、先を早く」
「分かったって。えー、まずは颯真から。こちらは俺の高校時代の悪友、あ、いや、親友の宮瀬 颯真くんです。ご覧の通り容姿端麗、頭脳明晰、女の子の告白をバッサバッサと断り続け、泣かせた女子は数知れず…」
「春樹!それは余計よ」
「おっと失礼。とまあ、そんなイケメン男子は医学部に進学。卒業後初期研修を終え、現在は救急科専門医の資格を取るべく、専攻医としてみなと医療センターのERで働く28歳の独身。ここ数年は彼女も出来ませんが、非の打ちどころのない男であります」
「んー、ちょいちょい言葉のアラが目立つけどいいわ。じゃあ次、菜乃花ちゃんの紹介ね」
「はいよ。えー、こちらは俺の大学時代の後輩、えっと、名字は忘れましたが、菜乃花です。いやー、大学といえば花の女子大生。明るくキャピキャピとしたキャンパスライフを送るかと思いきや、菜乃花はいつも教授室にいて、俺と教授の茶飲み友達でもありました」
はーるーきー、と有希が鋭い視線を送る。
「こんなに可愛い菜乃花ちゃんの良さをもっとちゃんと伝えてよ」
あ、いえ、そんな、と菜乃花は小さく手で遮る。
「えー?菜乃花の良さ?うーん、何だろう」
「春樹!」
有希が更に春樹を睨む。
「いえ、あの、いいんです。私、本当に何の取り柄もないし、女子大生らしさもなく地味に暮らしてましたので」
「あはは!地味な暮らしまでは言わなくてもいいよ。でもそうだな、菜乃花は周りの女子みたいに軽く流されないところが長所かな。その場の雰囲気でホイホイ男について行ったりしないし」
「それはそうでしょうね。そんな菜乃花ちゃん、想像つかないわ」
「あとは、そうだな。とにかく真面目だったな。お前さ、なんで心理学の道そのまま進まなかったんだ?」
思わぬ話の流れに、菜乃花は、え…と戸惑う。
「お前なら絶対いい心理士になれたと思う。教授だって、お前はてっきり院に進むと思ってたから、驚いてたぞ」
「あ、その。それは…」
うつむいて言葉に詰まっていると、有希が明るく言った。
「そんな話はいいの!とにかく菜乃花ちゃんは、同性の私から見てもピュアなのがよく分かる。今どきこんなに純粋な女の子は珍しいわよ。うちの職場の女の子達なんてもう、コロコロ彼氏が変わるんだもの。ひと月ごとに違う子だっているのよ?もはやマンスリー彼氏」
「あはは!有希、上手いこと言うな」
つられて菜乃花や颯真も笑い出す。
「ほんとなんだから。どんなに現場が忙しくても、デートなのでお先に失礼しまーす!って帰って行くの。それなのにすぐ別れるのよ。もうガックリ。冷静なメモを残せる菜乃花ちゃんの方がよっぽどナースに向いてるわ」
「まさか、そんな」
「いや、本当に俺もそう思う」
ずっと黙っていた颯真が口を開いた。
有希に交互に見つめられ、菜乃花と颯真は気まずそうにうつむく。
「あらやだ!お見合いみたいになっちゃった。春樹、仲人やる?」
「そうだな。それでは、えーゴホン!本日はお日柄も良く…」
「クリスマスイブに何言ってるのよ。それはいいから、先を早く」
「分かったって。えー、まずは颯真から。こちらは俺の高校時代の悪友、あ、いや、親友の宮瀬 颯真くんです。ご覧の通り容姿端麗、頭脳明晰、女の子の告白をバッサバッサと断り続け、泣かせた女子は数知れず…」
「春樹!それは余計よ」
「おっと失礼。とまあ、そんなイケメン男子は医学部に進学。卒業後初期研修を終え、現在は救急科専門医の資格を取るべく、専攻医としてみなと医療センターのERで働く28歳の独身。ここ数年は彼女も出来ませんが、非の打ちどころのない男であります」
「んー、ちょいちょい言葉のアラが目立つけどいいわ。じゃあ次、菜乃花ちゃんの紹介ね」
「はいよ。えー、こちらは俺の大学時代の後輩、えっと、名字は忘れましたが、菜乃花です。いやー、大学といえば花の女子大生。明るくキャピキャピとしたキャンパスライフを送るかと思いきや、菜乃花はいつも教授室にいて、俺と教授の茶飲み友達でもありました」
はーるーきー、と有希が鋭い視線を送る。
「こんなに可愛い菜乃花ちゃんの良さをもっとちゃんと伝えてよ」
あ、いえ、そんな、と菜乃花は小さく手で遮る。
「えー?菜乃花の良さ?うーん、何だろう」
「春樹!」
有希が更に春樹を睨む。
「いえ、あの、いいんです。私、本当に何の取り柄もないし、女子大生らしさもなく地味に暮らしてましたので」
「あはは!地味な暮らしまでは言わなくてもいいよ。でもそうだな、菜乃花は周りの女子みたいに軽く流されないところが長所かな。その場の雰囲気でホイホイ男について行ったりしないし」
「それはそうでしょうね。そんな菜乃花ちゃん、想像つかないわ」
「あとは、そうだな。とにかく真面目だったな。お前さ、なんで心理学の道そのまま進まなかったんだ?」
思わぬ話の流れに、菜乃花は、え…と戸惑う。
「お前なら絶対いい心理士になれたと思う。教授だって、お前はてっきり院に進むと思ってたから、驚いてたぞ」
「あ、その。それは…」
うつむいて言葉に詰まっていると、有希が明るく言った。
「そんな話はいいの!とにかく菜乃花ちゃんは、同性の私から見てもピュアなのがよく分かる。今どきこんなに純粋な女の子は珍しいわよ。うちの職場の女の子達なんてもう、コロコロ彼氏が変わるんだもの。ひと月ごとに違う子だっているのよ?もはやマンスリー彼氏」
「あはは!有希、上手いこと言うな」
つられて菜乃花や颯真も笑い出す。
「ほんとなんだから。どんなに現場が忙しくても、デートなのでお先に失礼しまーす!って帰って行くの。それなのにすぐ別れるのよ。もうガックリ。冷静なメモを残せる菜乃花ちゃんの方がよっぽどナースに向いてるわ」
「まさか、そんな」
「いや、本当に俺もそう思う」
ずっと黙っていた颯真が口を開いた。