花咲くように 微笑んで
 次々とテーブルに並べられた料理は、チキンやスープ、サラダにオードブルなど、どれもこれも手の込んだものばかりだった。

 「凄いご馳走ですね!有希さん、とってもお料理上手」
 「ふふ、ありがとう。楽しみで張り切っちゃったの」
 「じゃあ早速乾杯するか!颯真がいいワイン持って来てくれたんだ」

 だが、いざワイングラスに注ごうとすると、颯真は手で遮った。

 「俺はいいよ」
 「なんでだ?車なら、代行頼むか明日取りに来てもいいぞ」
 「いや、呼び出しがあるかもしれないから」
 「またそれか」

 春樹が小さくため息をつく。

 「颯真、お前この先も一生、一滴も酒を飲まないつもりなのか?非番の日まで気を張り詰めてたら持たないぞ」
 「ごめん、なんか雰囲気悪くして」
 「そうじゃなくて!」

 すると有希が割って入る。

 「じゃあ颯真先生は、可愛らしくシャンメリーね。はーい、ブドウ味ですよー」

 そう言って颯真のグラスにコポコポと注ぐ。

 「では皆様、グラスを持って。メリークリスマス!」

 明るい有希の口調に、皆で、乾杯!とグラスを掲げた。
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