花咲くように 微笑んで
 「こんにちは。お見舞いに来てくれたんだね」

 二人きりになった病室で、颯真が菜乃花に声をかける。

 「あ、はい。加納さん、お元気そうで安心しました」
 「うん。この調子なら、月末には退院出来ると思う」
 「本当ですか?!良かった…」

 心底ホッとした様子の菜乃花に微笑んで、颯真がまた口を開こうとした時だった。
 ふいに院内アナウンスが聞こえてきた。

 「コードブルー、コードブルー、5階婦人科病棟へお願いします」

 颯真はサッと顔つきを変えると菜乃花に向き直る。

 「ごめん、じゃあここで」
 「はい。失礼します」

 小さく頷いてから、颯真は足早に病室を出て行った。
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