花咲くように 微笑んで
 わあ!と子ども達が拍手する。

 「やったね!しんじ先生」
 「プロポーズ、大成功だね!」

 「あ、ああ、うん。フラレなくて良かったよ。あはは…」

 照れたように笑う三浦に、菜乃花も微笑む。

 「先生、ありがとうございました」
 「いやー、オペより緊張したよ」
 「え、そんなに?!」
 「うん。慣れないことはするもんじゃないな」
 「ふふ。そうおっしゃらずに、またお願いします」

 子ども達も「そうだよー。先生、またやってね!」と口々に言う。

 「うーん、そうだな。みんなもがんばってるし、先生もがんばるか!」
 「うん」
 「やったー!」

 子ども達は菜乃花と三浦の周りをぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。

 「ほら、はしゃぎ過ぎないようにな。そろそろみんなベッドに戻ろう」
 「はーい!」

 ナースステーションの前を通って、ワイワイと病室に戻る子ども達を、颯真は看護師長と一緒に見守っていた。

 「子ども達、今日も楽しそうでしたね。今までは自分のベッドでゲームに夢中だったのに、おはなし会がきっかけでみんな仲良くなったんですよ」
 「そうなんですか?」
 「ええ。宮瀬先生、良い方を紹介してくれたわ。あら?今日は声かけなくていいんですか?」

 帰り支度を始める菜乃花を見て、師長が颯真を促す。

 「あ、ええ。特に用事もないので」

 そう言うと、颯真は師長に会釈してナースステーションをあとにした。
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