花咲くように 微笑んで
「あーもう、どうしよう。春樹、早く帰って来ないかな」
菜乃花と別れて自宅に戻ると、有希はうろうろと落ち着きなくリビングを歩き回る。
「菜乃花ちゃんが他の先生と結婚するなんて。颯真先生はどうなるの?颯真先生には菜乃花ちゃんしかいないと思うのに。いや、でも、菜乃花ちゃんにとったら、その別の先生と結婚するのもアリなのかも?なんだか妙な真面目具合は二人とも似てる気がするし。いや、でも!やっぱり私は、菜乃花ちゃんにも颯真先生しかいないと思う。春樹だってそう思ってるはず。あー、いつ帰って来るのよ、春樹ったら」
クマのように行ったり来たりしたあと、ハッと思い立ってスマートフォンを手に取る。
みなと医療センターに勤める友人に「お仕事終わったら電話していい?どうしても聞きたいことがあって」と手短にメッセージを送った。
その時、玄関から「ただいまー」と春樹の声がした。
「あ、帰って来た!春樹!」
ぱたぱたと出迎えに行くと、春樹が目を見開く。
「有希!そんなに急ぐな!転んでお腹でも打ったらどうする?」
「ごめんなさい。でも、とにかく早く話したくて…」
「何を?」
「あのね、菜乃花ちゃんがプロポーズされたらしいの!」
「ええー?!そっか、ついに颯真が。ほらな、俺の言った通りだろ?心配しなくても、あいつは決める時には決めるって…」
「それが違うのよ!」
そう言った時、有希が手にしていたスマートフォンが鳴った。
「あ、美奈だ。春樹、ちょっとごめん。もしもし、美奈?あのね、美奈のとこの小児科に三浦先生ってドクターいる?」
有希は会話しながら奥のリビングへと消える。
残された春樹が、そうか、ついに颯真が…と感慨にふけっていると、春樹のスマートフォンにも着信があった。
「おっ、噂をすれば。もしもし、颯真?お前、やったなー!ついにプロポーズしたんだって?」
そう言いながらリビングに入る。
すると有希が、ギョッとしたように振り返った。
スマートフォンから耳を離し、春樹をまじまじと見る。
「春樹、誰と話してるの?」
「ん?颯真だよ。タイムリーだろ?良かったなー、颯真。で?いつ結婚するんだ?」
「春樹!」
「ん?」
有希の反応と、電話の向こうで絶句している颯真に、春樹はただ首をひねるばかりだった。
菜乃花と別れて自宅に戻ると、有希はうろうろと落ち着きなくリビングを歩き回る。
「菜乃花ちゃんが他の先生と結婚するなんて。颯真先生はどうなるの?颯真先生には菜乃花ちゃんしかいないと思うのに。いや、でも、菜乃花ちゃんにとったら、その別の先生と結婚するのもアリなのかも?なんだか妙な真面目具合は二人とも似てる気がするし。いや、でも!やっぱり私は、菜乃花ちゃんにも颯真先生しかいないと思う。春樹だってそう思ってるはず。あー、いつ帰って来るのよ、春樹ったら」
クマのように行ったり来たりしたあと、ハッと思い立ってスマートフォンを手に取る。
みなと医療センターに勤める友人に「お仕事終わったら電話していい?どうしても聞きたいことがあって」と手短にメッセージを送った。
その時、玄関から「ただいまー」と春樹の声がした。
「あ、帰って来た!春樹!」
ぱたぱたと出迎えに行くと、春樹が目を見開く。
「有希!そんなに急ぐな!転んでお腹でも打ったらどうする?」
「ごめんなさい。でも、とにかく早く話したくて…」
「何を?」
「あのね、菜乃花ちゃんがプロポーズされたらしいの!」
「ええー?!そっか、ついに颯真が。ほらな、俺の言った通りだろ?心配しなくても、あいつは決める時には決めるって…」
「それが違うのよ!」
そう言った時、有希が手にしていたスマートフォンが鳴った。
「あ、美奈だ。春樹、ちょっとごめん。もしもし、美奈?あのね、美奈のとこの小児科に三浦先生ってドクターいる?」
有希は会話しながら奥のリビングへと消える。
残された春樹が、そうか、ついに颯真が…と感慨にふけっていると、春樹のスマートフォンにも着信があった。
「おっ、噂をすれば。もしもし、颯真?お前、やったなー!ついにプロポーズしたんだって?」
そう言いながらリビングに入る。
すると有希が、ギョッとしたように振り返った。
スマートフォンから耳を離し、春樹をまじまじと見る。
「春樹、誰と話してるの?」
「ん?颯真だよ。タイムリーだろ?良かったなー、颯真。で?いつ結婚するんだ?」
「春樹!」
「ん?」
有希の反応と、電話の向こうで絶句している颯真に、春樹はただ首をひねるばかりだった。