花咲くように 微笑んで
去って行く後ろ姿が妙にしょんぼりとして見え、有希は小声で春樹に話しかけた。
「ね、やっぱり颯真先生、なんだかヨロヨロしてるわよね?」
「ああ、そうだな。仕事に支障ないといいんだけど」
「まあ、そこはプロだから大丈夫だと思うけど。仕事終わった途端、またヨロヨロし始めそう」
「そうだな。悪いことしたなあ」
「うん。それに菜乃花ちゃんにも。夕べすぐに電話して謝ったんだけどね。拍子抜けするくらい、別にいいですよーって言うの」
「それってつまり、菜乃花は颯真のこと、何とも思ってないってことか?」
うーん、と有希は考え込む。
「確かに今は自覚ないのかもしれない。でも私は、菜乃花ちゃんも颯真先生も、お互い密かに惹かれ合ってる気がするのよね」
「どうして分かるんだ?」
「んー、女の直感」
はあ?と春樹は呆れ気味に言う。
「何だよ、それ。当てにならないな」
「むっ!これでも結構当たるんだからね」
「おいおい。仮にもナースなんだから、もっと事実とか根拠に基づいた話をしてくれよ」
「恋の病は理屈じゃないの!」
「やれやれ。じゃあ、つける薬もないってことか」
「だけど私はどうしても二人には結ばれて欲しいの。菜乃花ちゃんはとってもいい子だし、颯真先生の悩みに寄り添えるのも彼女だけだと思うのよ。颯真先生の見た目のかっこ良さとか肩書に寄って来る子じゃなくてね」
「確かに颯真の仕事にどっぷり浸かり過ぎるところは、傍から見てても危なかしい。けど、菜乃花だって似たようなところあるし、颯真を支えられるかって言ったらそれ程強くないと思うぞ?」
「だからよ。菜乃花ちゃんも繊細だからこそ、颯真先生の気持ちが理解出来るの。それに春樹が思ってるよりもずっと、菜乃花ちゃんは強い子だと思うわ。でなければ、ナースでもないのに倒れたおじいさんに冷静にCPRなんて出来ないもの」
「なるほど。それもそうか」
春樹は腕を組んで考え込む。
が、食堂が混み合ってきたのに気づいて、二人は立ち上がった。
「ね、やっぱり颯真先生、なんだかヨロヨロしてるわよね?」
「ああ、そうだな。仕事に支障ないといいんだけど」
「まあ、そこはプロだから大丈夫だと思うけど。仕事終わった途端、またヨロヨロし始めそう」
「そうだな。悪いことしたなあ」
「うん。それに菜乃花ちゃんにも。夕べすぐに電話して謝ったんだけどね。拍子抜けするくらい、別にいいですよーって言うの」
「それってつまり、菜乃花は颯真のこと、何とも思ってないってことか?」
うーん、と有希は考え込む。
「確かに今は自覚ないのかもしれない。でも私は、菜乃花ちゃんも颯真先生も、お互い密かに惹かれ合ってる気がするのよね」
「どうして分かるんだ?」
「んー、女の直感」
はあ?と春樹は呆れ気味に言う。
「何だよ、それ。当てにならないな」
「むっ!これでも結構当たるんだからね」
「おいおい。仮にもナースなんだから、もっと事実とか根拠に基づいた話をしてくれよ」
「恋の病は理屈じゃないの!」
「やれやれ。じゃあ、つける薬もないってことか」
「だけど私はどうしても二人には結ばれて欲しいの。菜乃花ちゃんはとってもいい子だし、颯真先生の悩みに寄り添えるのも彼女だけだと思うのよ。颯真先生の見た目のかっこ良さとか肩書に寄って来る子じゃなくてね」
「確かに颯真の仕事にどっぷり浸かり過ぎるところは、傍から見てても危なかしい。けど、菜乃花だって似たようなところあるし、颯真を支えられるかって言ったらそれ程強くないと思うぞ?」
「だからよ。菜乃花ちゃんも繊細だからこそ、颯真先生の気持ちが理解出来るの。それに春樹が思ってるよりもずっと、菜乃花ちゃんは強い子だと思うわ。でなければ、ナースでもないのに倒れたおじいさんに冷静にCPRなんて出来ないもの」
「なるほど。それもそうか」
春樹は腕を組んで考え込む。
が、食堂が混み合ってきたのに気づいて、二人は立ち上がった。