花咲くように 微笑んで
 1週間後。

 互いの休みが合う日に、菜乃花は三浦と出かけることになった。

 待ち合わせした菜乃花の最寄り駅のロータリーに、三浦が車で迎えに来てくれる。

 「おはよう。お待たせ」
 「いいえ。おはようございます」

 開けてくれた助手席のドアから、菜乃花は車に乗り込んだ。
 運転席に回った三浦が尋ねる。

 「えっと、どこか行きたいところある?」
 「いえ、私は特に。どこでも大丈夫です」
 「じゃあ、俺が決めてもいい?って言っても、俺も決めかねてるんだ。んー、AコースとBコース、どっちがいい?」
 「ええ?」
 「あ、A?」
 「いえ、そうではなくて。あ、はい。やっぱりAで」

 なんだかおかしなやり取りになるが、三浦は、了解!と明るく言って車を走らせ始めた。

 「Aコースはね。水族館と夜景の見えるレストランなんだ」
 「そうなんですね。ちなみにBコースは?」
 「映画館とショッピング」
 「へえ。それもいいですね」
 「そう?じゃあ、次回はBコースね」
 「ふふっ、はい」
 「やった!次の約束も取りつけたぞ」

 三浦は嬉しそうに菜乃花に笑顔を向ける。

 40分程走って、車は海沿いの大きな水族館に着いた。
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