花咲くように 微笑んで
 サイレンの音と共に救急車が滑り込んできた。

 すぐさま後ろのドアを開けた颯真は、頚椎を保護されてストレッチャーに横たわる菜乃花を見て息を呑む。

 ぐったりと目を閉じ、手や足も傷を負って血が滲んでいた。

 「脳震盪の可能性が高い。早急にCTを」

 救急車から降りて早口でまくし立てる三浦に、颯真が問い詰める。

 「状況は?どれくらいのスピードのバイクと?」
 「分からない。その瞬間は見てないんだ」

 颯真の身体は一気にカッと熱くなる。

 「あなたがついていながら、どうしてこんなことに?!」

 思わず声を荒らげた時、宮瀬、と後ろから塚本の低い声がした。

 「冷静になれないなら、お前は外れろ」

 グッと颯真は唇を噛みしめる。

 「すみません。失礼しました」

 そう言うと、すぐさま菜乃花のストレッチャーに駆け寄る。

 「急ぐぞ。だが、出来るだけ静かに運べ」
 「はい!」

 塚本の言葉に皆で気を引き締めた。
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