花咲くように 微笑んで
 処置室に運び込まれると、菜乃花の身体は様々な機械と繋げられる。

 「鈴原さーん。聞こえますか?」
 「採血しますよー」

 ナースの呼びかけにも、菜乃花は全く反応しない。

 「バイタルは安定してる。CT行くぞ」
 「はい」

 ストレッチャーを押しながら、颯真は菜乃花の痛々しい姿に顔を歪めた。

 (白くて綺麗な手足まで血が…。頼む、無事でいてくれ)

 祈るように菜乃花を見つめ、込み上げそうになる涙を必死で堪えた。
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