花咲くように 微笑んで
第十三章 幸せそうな笑み
 「うーん。お返事の締め切り、いつなんだろう?」

 久しぶりの自宅でのびのびと自分の時間を楽しみながら、菜乃花はふと考え込む。

 色々あったにせよ、プロポーズされたのはもう2ヶ月も前のことだ。

 (長い間お待たせしちゃってるものね。次に会う時にはお返事したいなあ。けど、なんて?)

 三浦に対して不満がある訳ではない。
 いつも優しくしてくれるし、あんなにも真剣に自分を想ってくれている。
 結婚しても、きっとその言葉通り、ずっと優しく守ってくれるだろう。

 (理想的な旦那さんって感じ。女の子なら誰もが憧れるような男性よね)

 では、彼と結婚したい?

 そう自分に問いかけてみると、どうしても頷けない。

 (なぜだろう?私なんかにはもったいないくらい、素敵な人なのに…。彼のプロポーズを断るなんて、そんな偉そうなこと出来ない)

 ぐるぐると頭の中で色々な思いが駆け巡る。

 答えは簡単に出せそうになく、一旦考えるのは止めて、菜乃花は荷物の片付けを始めた。

 バッグから服を取り出して洗濯機を回す。
 続いて化粧品や細々した身の回りの物を取り出していると、颯真から借りている本が出てきた。

 (あ、これ返さなきゃ。でももう一度読み返そう)

 3冊とも興味深く、既に何度も読み返していたが、返す前にもう一度読みたくなる。

 気がつくと、またしても2時間経っていた。

 「やだ!洗濯物!」

 慌てて干しながら苦笑いする。

 (もうこの本、買っちゃおう!)

 洗濯物を干し終えると、早速通販サイトで3冊とも注文した。
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