花咲くように 微笑んで
 「こんにちは!」
 「こんにちは。元気そうだね」
 「はい、お陰様で」

 約束した火曜日。

 菜乃花は真っさらな本と颯真から借りている本の両方を持って、みなと医療センターを訪れていた。

 到着したとメッセージを送ると、すぐに行くと返事が来て、二人はカフェで落ち合った。

 「宮瀬さん、お昼ご飯食べますか?」
 「うん、そうだな。パスタでも食べようかな」
 「じゃあ私も何か。うーんと、ホットサンドにします」

 オーダーすると、颯真が素早く支払いを済ませてくれる。

 「すみません、私の分まで」
 「いいって」
 「ありがとうございます」

 二人はテーブル席に向かい合って座った。

 「体調はどう?変わりない?」
 「はい、大丈夫です」
 「良かった。腕は?ちょっと見せてくれる?」

 フォークを置いて、颯真が菜乃花の腕を取る。

 そっと傷跡に触れながら真剣な顔でじっと見つめると、小さく頷いて顔を上げた。

 「だいぶ目立たなくなってきてるね。このまま綺麗に治るといいんだけど。もし気になるようなら、皮膚科で診てもらうといいよ」
 「はい、ありがとうございます」
< 95 / 140 >

この作品をシェア

pagetop