compact
「…キさん…?」
「…はい。」

「亜葵さんですか?」
毎朝コーヒーを淹れてくれる
店員サンの優しい声だった。

「うん…。私の名前の読み方、
覚えてくれたんだね。
ありがとう。」

いま居る部屋から玄関まで20秒、
玄関からエレベーター降りるまで1分、
マンションからコーヒーショップまで歩いて
5分。

そんなことを考えていたら
沈黙になってしまった。

「…今、どこにいるの…?」
優しく聞いたつもりだった。

「亜葵さんの会社の前です。」

コーヒーショップから会社まで1分。
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