姫を追放された私は一筋の光に救われた
「俺はお前が蓮との勝負で怪我だけが心配なんだ。立ち上がれないほどの怪我を追ったりしたら俺は……」


「凪さん、心配してくれてありがとうございます。でも私は大丈夫です」


私だって負けるのは怖い。負けてしまったら心まで折れそうな気がするから。

だけど、相手は男の子。一筋縄じゃいかないこともわかってる。


怖くないって言ったらウソになる。けれど、ここで逃げるわけにはいかないんだ。


凪さんと一緒に不安がってちゃダメだ。

今度は私が凪さんを安心させてあげないと。私が凪さんに助けてもらったみたいに。


「無傷で勝つことはありえないです。けど、私だってゼウスの姫ですよ。それにこのまま追放された姫じゃいたくないんです。凪さんに救ってもらった恩返しをさせてください。勝ったらゼウスの姫としても鼻が高いでしょう?」


「お前が負けたからと言って捨てることはしないぞ」


「わかってます。勝ったほうが私も嬉しいですし。凪さん、私が勝ったらお願いを聞いてくれますか?」


「あぁ、なんでも聞いてやる」


「えへへ、ありがとうございます」


「それで願い事っていうのは?」


「それは私が蓮に勝ってからのお楽しみです」


「そうか。頑張れよ、雪菜」


「はいっ!」


見事に負けるフラグを立ててしまったけど、大丈夫かな?私なら絶対大丈夫。

仮に負けたとしても、爪痕くらいは残してみせるんだから。


それから私たちはデートに向かった。

デートの定番は映画館という凪さんの言葉から私たちは映画を見た。


リードしてるから凪さんはデート経験があるかと思いきや、女の子と交際したことがない凪さんは女の子とお出かけすらしたことがないらしく。

そういう情報はゼウス組の舎弟から聞いてるらしい。
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