姫を追放された私は一筋の光に救われた
「っ!?いたっ……」

ボーッとしながら歩いてたせいで転んでしまった。制服が泥まみれになっちゃった。

見た目も汚くなって、もう姫の面影は一切なくなった。


……駄目だな、私。
今まで仲間だと思っていたのは私だけ?

いつから騙されてた?一度ネガティブ思考に陥るとそのまま悪いほうへと考えがいくクセはよくないな。


「そこのお前、大丈夫か?」


「……え?」


目の前に差し出された手。


蓮が助けに来てくれたんだ……なんて、一瞬バカなことを考えた。

蓮は真麗奈の彼氏なんだ。
私のことを助けるわけない。


助けに来ないとわかっていても、わずかな希望を抱いてしまうのは何故だろう。


「制服、泥だらけだな。立てるか?さっきからフラフラしてるし、もしかして具合悪い、とか?」


「あ、えっと……」


知らない男の子から話しかけられて緊張で声が出ない。


私と同い年くらい?それにしたって顔が整いすぎてない?


顔面偏差値が高いというレベルではおさまらないほど、顔がイケメンすぎる。


蓮だってそれなりにカッコいいとは思っていたけど、それ以上にカッコよくて。


サラサラの黒髪に綺麗な赤い瞳。赤い目なんて珍しいな。一瞬、目が合っただけでそらせなくなった。
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