姫を追放された私は一筋の光に救われた
「なぁ、どうしてずぶ濡れの中、一人で歩いてたんだ?」


「それは……」


本当のことを言ったら凪さんはどう思うだろうか。私のことを嫌いになる?それだけは嫌だ。


せっかく光が差したのに自ら閉じてしまうのは。凪さんに助けられたとき、一筋の光が見えた気がした。


「友達と喧嘩でもしたか」


「そんなとこです」


「それにしては落ち込み方がすごかったぞ。よっぽど大切な友人だったんだな」


「そう、ですね」


友達よりも大事だったかもしれない。

昨日まで家族だったと思っていたから。
本当は今だってそう思ってる。

けれど、あっちは私をなんとも思っていない。じゃなきゃ、あんなひどいこと言えないから。
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