二人の永遠がこの世界になくても
結局、君ってなんなの
「男の子拾ってきちゃった」

スーパーに夜ご飯の材料を買いに出たはずのママが、まん丸に膨れた買い物バッグと一緒に、男の子を引き連れて来た。

″男の子拾って来ちゃった″なんて、日常でそんなにあっさりと言うものだろうか?
いや…たぶん言わない。
たぶん…。

「どういうこと?」

「帰ってきたらそこに居たのよ」

そこ、と言いながらママは玄関のほうを指差した。
私は持っていた麦茶のグラスを落とさないように注意しながらテーブルにそっと置いた。
ママの言葉に、けっこう動揺している。

「居たって…居ただけなんじゃないの?」

「居ただけなの?」

ママは私からの質問をそのまま男の子に投げかけた。

「拾ってくれたらいいなって思ってました」

「は?」

「行く所も無いので」

「拾ってくれたらいいなって…誰に?」

「できればこちらのご家族に」

「え?なんで?」

「えーっと…なんででしょう?水色の車が可愛かったから?」

うちのガレージに停めてある車。
ママの車だけど、本当は無難に白か黒にしようって決めていたのに、車を購入したその日がすごく快晴で、空の色がとっても綺麗な青だったから、って理由でママは水色の車を選んだ。

ママは嬉しそうに「センスがいいわね!」って、得体の知れない男の子を称賛した。

「いやいやいやママ!ちょっと!」

ママの隣でニコニコと表情を崩さない男の子から引き剥がして、リビングの隅にママを追いやった。

「早く外に出してよ!」

「なんでよー」

「ちょー怪しいじゃん!何やってんのよ!」

「えー。可哀想じゃない」

「可哀想って…」

「コソコソ話ですか?俺も混ぜてくださいよ」

「うわっ!」

振り向いたら男の子がすぐそこに立っていた。
身なりは至って普通。若干垂れ目だけどぱっちりとした目。
茶色の瞳。肌は…ひょっとすると私よりも色白だ。
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