二人の永遠がこの世界になくても
「ヨヅキ。えっと、メリークリスマス?って言うんだっけ?」

「うん。メリークリスマス」

「クリスマスは大切な人にプレゼントをあげるんだよね」

「でも私、なんにも用意できなかったの。何を願おうかなって考えすぎたら頭がいっぱいになっちゃって」

「なんにも要らないよ。俺にはヨヅキと過ごせる時間が何よりも大事だから」

「ずるいよ、そういうこと言うの」

「そうかな?ヨヅキ、一緒に居てくれてありがとう」

「そんなの、私のほうが思ってるよ」

「ふふ。ありがとね」

深く呼吸をした。
冬のにおい、なんてそんな詩的なことは私には分からない。

でも気持ちがスッとした気はする。
目を閉じて、春華の手の平を握った。

もう微かに光り始めている手の平。
私と変わらない温度。

細胞で君を憶えていられたら、忘れてしまってもいつか突然思い出すことができるのかな。

ううん。
そんな小さな希望に賭けなくったって、私が願えばいい。

春華と永遠にこの世界で生きていく未来を。
私のたった一言で願いは叶う。

同じ時間の中で、君が好きだって伝えられること以上に幸せなことなんて無い。

なんにも持っていなかった私に、君だけが居た。

「ヨヅキ」

私の名前を呼ぶ声。
何度も何度も繰り返す。
私は、春華を忘れない。

「ヨヅキ、俺が君を世界で一番幸せにするよ。君の、願いは何?」
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