二人の永遠がこの世界になくても
それからまたしばらく町を探して回った。

路地裏、自販機の隙間、春華は知らない人の家の庭まで覗き込んで、
「怒られたらどうすんの!」って言った私に、「その時は一緒に怒られようね」って可愛い顔で笑って私をイライラさせた。

なんでこんなにイライラしてるんだろう。
私に笑いかけてるのにイライラする意味なんか無い。

なのに春華が私に優しくするたびに、嬉しかったり楽しそうに笑うたびに、私は泣きたくなる。

誰にでも同じようにするなら、いっそ私にだけはムスッとしてればいいのに。
そのほうが「私だけは違う」って思えたかもしれない。

それができないなら誰にでも優しくしないで。
そんな顔で笑ったりしないで。

たとえ修行の為でも。

もう…戻れなくてもいいじゃん。
ここにいれば力なんて使わなくても春華が生きていていい場所がある。
私だけはずっと春華の味方で居てあげるのに。

そんな自分を隠せなくなってくるからすごく嫌な気持ちになる。

春華も莉奈ちゃんも、誰も悪くないのに。
< 42 / 115 >

この作品をシェア

pagetop