二人の永遠がこの世界になくても
六月。
梅雨が本格化してきた頃、祝日が一日も無い月に、パパが有休を使って一時帰省してきた。

期間は一週間。
一週間後にはパパはまた転勤先に戻っていく。

帰省一日目、春華の存在を突然知らされたパパは、すんなりと受け入れた。

「知り合いの子を預かっている」
その言葉を信じているのかは分からない。

年頃の娘と、もう随分と長い間同居していることにすら何も言わなかった。

「ほらね、言ったでしょ」

得意げに微笑むママに「そんなこと本当は最初から分かってたよ」って言う私に、ママは寂しそうな顔をした。

四人で夕飯の食卓を囲む。
奇妙な晩餐会だった。

私は黙々とご飯を口に詰め込んで、春華はやっぱり気まずいのか大好きなハンバーグを半分も残した。

「春華、ちゃんと食べないと夜中にお腹空くよ」

パパとママには目もくれないで春華にだけ話す。

「さっきお菓子いっぱい食べちゃったから。ママさん、ごめんね」

「いいのよ。ラップしとくからもしお腹空いたら食べてね」

「ありがとう」

「もう上がるね」

「もう?」

「うん。宿題あるから」

「そう…」

ママは行って欲しくなさそうだった。
宿題なんて本当は無い。
このままリビングに居ることが息苦しかっただけ。

パパが帰省している間、春華は私の部屋に布団を敷いて寝ることになった。

もうここまで来たらママが何を考えているのか分からないし、私も反論する気力を無くしていた。

パパだって何も言わない。
珍しく春華だけが焦っていた。
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